三角関数と「女の子」について、ある県の知事さんが失言らしきことをした件が話題になっていた。
この話題を聞いて、とてもたくさんのことを考えた。いくつかツイートしたけれど、たぶんその30倍くらい考えたと思う。考えた量をどうやってはかるのか知らないけれど、まあ感覚的な話として。
最初に考えたのは「(少なくとも私は)あわてて知事さんを直接非難しないように気をつけよう」だった。人の発言の一部を切り出すと、いくらでもおかしな話は作れるから。そして、私が何を言おうと、言うまいと、たくさんの人が非難するだろうから、と思ったのだ。
これで失言したらしい人を切り離した。次に考えたのは、三角関数のことや「女の子」のことで、何かいい話、私が書けるいい話はないかと思った。
もちろんある。
丸い三角関数という私の本から引用して、サインカーブやリサージュ図形のツイートをした。三角関数は役に立つから学ぶ面もあるが、それ自体が美しいし、学ぶことが楽しいものだと言いたかったから。『数学ガールの秘密ノート/丸い三角関数』の紹介もした。この機会に三角関数に触れてみたいと思う人がいるだろうから。 http://note3.textfile.org
数学ガールの読者さんには女性もたくさんいて、ファンレターもいただく。数学ガールという本が出たことで、友達と数学の話がしやすくなったという女性が何人もいる。その話も少しツイートした。数学ガールは女性の意識を変えたり、まわりの偏見を減らすのに役立っている。それは、私の力というより、数学そのものの力であることが多いけれど。
私がツイートしたのはだいたいそのくらいだ。数学の楽しさ美しさと、数学を学ぼうとしている女性について。それは私の書けることであり、私が書くべきことであり、書く意味のあることだと思ったからだ。
ソーシャルネットワークで一番労力を使うのは「書かないでいることに耐える」ところではないかといつも思っている。