\(n\)次の正方行列\(A,B\)に対して、関係\(A \sim B\)を以下のように定義するとき、この関係\(\sim\)が同値関係であることを証明する。 \[ A \sim B \Longleftrightarrow \text{$P^{-1}AP = B$を満たす正則行列$P$が存在する} \]
(反射律)\(P\)として単位行列を取れば\(P^{-1}AP = A\)が成り立つから、\(A \sim A\)である。
(対称律)\(A \sim B\)のとき、\(P^{-1}AP = B\)なる\(P\)が存在し、\(Q = P^{-1}\)と置けば\(Q^{-1}BQ = A\)である。したがって、\(A \sim B\)ならば\(B \sim A\)である。
(推移律)\(A \sim B\)かつ\(B \sim C\)であると仮定する。このとき、\(A \sim B\)から\(P^{-1}AP = B\)なる正則行列\(P\)が存在し、\(B \sim C\)から\(Q^{-1}BQ = C\)なる正則行列\(Q\)が存在する。よって、\(Q^{-1}BQ = Q^{-1}P^{-1}APQ = C\)である。ここで\(R = PQ\)と置けば、\(R^{-1}AR = C\)が成り立ち、\(A \sim C\)であることがいえる。
以上より、関係\(\sim\)が同値関係であることが証明できた。
※単位行列、逆行列、行列の積に対応しているのが興味深い。