『数学ガールの秘密ノート/微分を追いかけて』の再校ゲラを読んでいる。
昨日の火曜日は第1章と第2章を読んだ。今日は第3章と第4章を読む。たぶん、読むだけならば2時間くらいで読めるだろうと思う。
レビューアの指摘のうち、初校ゲラを読んでいるときに間に合わなかったものを反映させるのにはもう少し時間がかかると思う。とは言っても2〜3時間だろうか。
現時点のまま書籍にしても問題ない品質ではあるのだが、さらなる微妙な品質アップのためにコツコツと直していくという作業である。こういうの、好き。単純なコスパを考えると無駄だけど、長期的な視点に立つと本質的に重要。
本は突然売れることがある。予想を超えてたくさん、長期間売れることがある。そういうときに「手抜き」で痛い目にあうはずだ。幸い、その痛い目には遭ったことがないけれど。
思いがけずたくさん売れて「ああ、しっかり作って良かった!」と胸をなでおろすことは何回か経験したことがある。
とはいえ、いくらがんばっても完全な本ができるわけではない。そういう意味では〆切は必要である。そこまでに全力を尽くし、あとは次の仕事にかかるということだ。
今回はやさしい微分の本である。書店に行けばすでに山ほどの本がある。でも、私が出すことには意味がある。私の本と出会って、初めて微分というものに触れる読者がいるはずだ。その読者のためにがんばる。
微分について語るべきことは無数にある。書籍は有限だ。何かを書き、残りは捨てるという取捨選択が必要だ。秘密ノートでは思い切ってたくさんを捨てている。網羅的にはしない。その代わり、ていねいに進む。たぶん気の利いた子なら小学生でもしっかり理解してほぼすべて読めるのではないか。
その一方で、すべてを理解できる子は少ないとも思う。あちこちにしっかり考えないと解けない謎も残しているからだ。それをねらっている。もちろん、本としてはまとまっている。読み終えた後、ほかの本を読んだり、もっと学びたくなる、そんな本を書こうとしている。学びが広がる本だ。
学校の先生にも人気がある。学び方、教え方、伝え方のよき題材になっているのだという。多層的な意味を持つ本だ。来月の刊行が楽しみである。
『数学ガールの秘密ノート/微分を追いかけて』
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