彼女(妻)に花を贈る話。
彼女に花を贈るのは好きだ。
普段は素通りしている花屋さんに入り、いろいろと眺める。小さなブーケ風のもの、バラの花束、カゴに入った小花。春なので淡い色がいいな。
贈り物として記念に残るものもいいけれど、花のような「消え物」もいい。押し付けがましくなく、季節感を味わえ、そして何よりサプライズにぴったり。
花を買った帰り道は幸せな気持ちになる。香りに包まれるからか。彼女が驚きそして笑顔になるのが楽しみなのか。あるいはもっと端的に、花を贈る相手の存在全体が嬉しいのか。
バスに乗ってる間中、一人のおばさまがじいっと私の持っている花束を見つめていた。女性は花が好きである。
帰宅して彼女に花束を渡すと、期待を裏切らず、こぼれんばかりの笑顔。きっと私も、同じような笑顔になっていたに違いない。
彼女に花を贈るのは好きだ。